- どうして、こんなに早くポストを解体できるの?
- そう!不思議に思うこと間違いありません。
- 技術的裏付けのない怪しげな計算では?
- 疑いたくなる気持ちもわかりますが・・・・・
確かな計算根拠から成り立っています。
- 早期解体計算の根拠はなに?
- 日本建築学会標準仕様書 第5編=JASS5です。
【日本農林規格(JAS)とは違いますので・・・】
- そんなに有利な工法がなぜ普及しないの?
- パソコンの性能向上と構造解析ソフトのなせる技です。
近年になって計算が可能になってきたと言えます。
- 構造解析ソフトって?
- パソコンの性能向上と構造解析ソフトのなせる技です。
有限要素解析=「FEM」解析のソフトを利用します。
自動車・機械産業ではFEMは常識!
- FEM解析で何がわかるの?
- 構造体(梁・スラブ)のたわみを知ることができます。
応力の分布(集中)もシュミレーションできます。
- たわみが判るとポストが減るの?
- ポストを適所に配置し、バネの力で応力を減少させ、
応力集中を計算して安全を確認します。
これを繰返し行い、ポストの位置と本数を決定します。
- ポストのバネってなんですか?
- バネとは、物質に力が加わえられた時に変形しながら元に戻ろうとする力を言います。
これを繰返し行い、ポストの位置と本数を決定します。
- バネが良くわかりませんが?
- コイルバネを考えてください。
バネは力が加わらなければ何の働きもしません。
上から力が加われば、押し返します。
- ポストにもバネがあるのですか?
- すべての物体はバネを持っています。
バネはヤング係数・断面積・垂直長で算出されます。もちろんポストにもバネがあります。
- バネが有効に利用できるポストの位置は?
- スラブがたわむ場所がそのポイントです。
そこに、あらかじめポストを配置しておくと、スラブが下がろうとしてポストを上から押します。
ポストは微小に変形しながら押し返します。
- スラブの一番たわむ場所はどう見つけますか?
- 構造解析、FEM解析を行います。
梁・スラブの部材を配置し、柱や壁を支点とします。
施工時の最大荷重(上々階Con荷重)を入力します。
解析するとたわみが計算されます。(コンタ図)
「スパンの中央が大きくたわむようですが・・・」
たわみδ(デルタ)を求める計算式は
これは、l(エル)の4乗に比例するということです。
ですから、支点(柱)から一番離れた場所、スパン中央が大きくたわみます。
- では、スパン中央にポストを配置すれば・・・?
- その通りです。等分布荷重を受けるスラブの場合は、ポストでスパン中央を支持します。
スラブは下がろうとしますが、ポストはその力を受け、微小変形しながらバネで跳ね返します。
下がろうとするスラブを、持ち上げるには、一番下がるところを支えれば良いのです。
スラブの応力を減少させることができます。
- スラブの応力はどう計算するのですか?
- たわみを解析した梁・スラブに、ポストをバネとして入力し、再度解析して、スラブ応力を求めます。
曲げモーメントの最大値・最小値をあらかじめ求めておいた、許容応力と比較し、許容値以下であれば、ポスト位置を確定します。
- ポストへの荷重も計算しているのですか?
- もちろん計算しています。
ポストは支持長さにより、許容荷重が変化するので、長さごとに安全を確認しています。
- 梁ポストは3層受けが原則と聞いた事が・・・
- 梁だけではなく、スラブも3層受けが原則です。
施工荷重が設計荷重を上廻る場合は、3層受けもしくは構造計算による安全確認が必要です。
住宅用のスラブはたいていの場合、設計荷重<施工荷重となります。
梁はほぼ全数が設計荷重<施工荷重です。
- 3層受けにすれば構造計算は不要ですか?
- JASS5には、施工荷重の最大は2層受け時、次々階コンクリート打設直後とあります。
3層受けをすれば、最大施工荷重の時期を過ぎるので、構造計算は不要としても良いと思います。
- 3層受けではポストが多くて大変ですが・・・
- 型枠工事費のコストもアップしますし、仕上工事の着手時期も遅れてしまいます。
3層受けしたくなければ、構造計算が必要です。
- 梁もスラブと同様の考えができるのですか?
- JASS5では、梁の支保工存置期間もスラブと同様に、適切な計算方法で確認できれば、設計基準強度以下で支保工を取り外すことができるとあります。
- 施工荷重はどう求めていますか?
- JASS5の記述によります。
1層受け時の荷重は自重の2.1倍となります。
2層受け時の荷重は自重の1.8倍となります。
支保工解体直後の積載荷重は1.5kN/m^2です。
型枠重量や積載荷重も考慮します。
- 許容応力はどう求めていますか?
- JASS5の記述によります。
ひび割れを起こさない許容曲げ応力度σ(シグマ)は
コンクリートの強度が設計基準強度の場合 σ=0.64√(F) F=取外し所要圧縮強度
コンクリート強度が設計基準強度未満の場合 σ=0.51√(F)
Fはコンクリート強度で、JASS5では12N/mm^2以上の任意の値です。
当社では通常は16N/mm^2としています。
- 計算結果について教えてください。
-
上に計算の実例を示します。
これは、ポストの配置図です。
この他に、計算書には、
- 型枠支保工解体モデル
- 解析断面の明示(柱・壁・梁・スラブ)
- 施工荷重の計算(梁・スラブ・手摺・垂壁・・・・)
- ポスト(バネの計算・許容荷重の計算)
- 許容応力の計算(梁・スラブ)
- ポストの荷重計算
- メッシュ割図、モーメント分布図・たわみ分布図などを出力いたします。
- たわみは計算しないのですか?
- JASS5には、たわみの計算は示されていません。
最大施工荷重時の最大応力を求めれば、特に、「たわみ」の管理は必要ないとされています。
当社では、最大たわみはスパン短辺の1/2000をめやすにたわみを管理しています。
- 従来のパーマネントと比較すると・・・・・
- 下が従来パーマネント工法のポスト割付図です。
サポートの数が大きく違うのに驚かれるでしょう。
これが、ピンポイント工法の効果です。
- 梁のポストが極端に少なくなっていますが・・・・・
- ピンポイント工法では、コンクリート初期強度を、JASS5により、12N/mm^2以上で計算しますが、FEM解析により「総持ち」の計算ができます。
また、スラブにポストを配置することにより、梁への 荷重負担が減少し、梁のポストが減少します。
通常、梁は断面が大きい(許容応力=大)ので、応力は大きく出ますが、許容値以下になることが多くなります。
- 計算方法の違いを教えてください。
- 従来工法=スパン短縮によるスラブ応力軽減(梁の計算は複雑で行われる事例は少ない。)
ピンポイント工法=ポストのバネによる応力軽減(FEM解析により「総持ち」の計算が可能)
- 計算方法の違いをもう少し教えてください。
- 従来の計算では、ポストで支えられた場所は、固定支点として計算します。
しかし、ポストは薄板鋼材であり力を受けると変形しますから、現実には固定点ではありません。
固定点は、バネで置き換えると無限大になります。
ポストは固定点でなく、バネで計算すべきです。
- ピンポイント工法の向き・不向きはありますか?
- ピンポイント工法は計算手法が革新的ですから、どんな建物にも有効です。
あえて言うなら、スパンの短い構造物や壁の多い構造物では特に有効です。
また、基準階の多い建物は計算費用が安くつきますので、コスト的に有利です。
- ピンポイントで特に注意する点はありますか?
- ピンポイントポストの巻上げ管理が重要です。
バネの力を利用するにはポスト頂部と梁・スラブが密着していなければなりません。
これは非常に大事なことです。
ピンポイントポストは必ず全数を配置して、強く巻上げを行ってください。
一般支保工の解体は、初期強度発現・ポスト全数配置・巻上げ確認、このすべてを確認しなければなりません。
妥協は不可です。
- 解析にあたって留意していることはありますか?
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- メッシュ分割は入力節点を含めています。
- 応力=大の位置で計算軸を作成しています。
- メッシュは細分化を図り計算精度を向上します。
- 柱支点は小さく入力し、スパンを拡大しています。
- 上階壁や手摺など局所荷重を評価します。
- 鉄筋の降伏もチェックしています。
- 計算時のコンクリート強度は3N/m^2減じています。
- ピンポイント工法採用のメリットを教えてください。
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- 仕上工程が早期着手できます。
- 型枠の搬入資材量を削減します。
- 型枠材の運送費を削減します。
- 型枠労務を減少させます。(荷揚げ手間)
- コンパネやポストを確実に減らせます。
- 建築全体工程の短縮にも寄与します。
- 構造クラックを防止します。
(収縮クラックなどを防ぐことはできません。)
- 現場がきれいになります。
- ピンポイント工法採用時に考慮しておくことは?
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- 元請(ゼネコン)の許可が必要です。
- 監理者(設計事務所)の了解が必要です。
- 型枠施工業者の協力が必要です。
- 厳格なポストの管理が必要になります。
- コンクリート強度管理も厳格になります。
- テストピースが増加します。
- 重量積載物は別途補強してください。
- 計算の期間は最短で1週間は必要です。(お問い合わせください)